扶養になるならないってどういう意味?

           

         

                   

扶養になるならないってどういう意味?


「扶養」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

 

年末になると、会社に対して「扶養控除等申告書」といった書類を提出します。

これは税制上のメリットを享受すべく、扶養している家族の人数を申告する書類ですが、

給料が一定額を超えると「扶養から外れる」といった言葉も耳にします。

 

では、扶養しているかどうかの判定は、どのように行うのでしょうか?

今回は、この「扶養」の意味を確認するとともに、「扶養」のありなしで何が変わってくるのか?

扶養に入っているとどういったメリットがあるのか?をまとめてみます。

 

(1)扶養ってなに?

扶養している家族のことを「扶養家族」といいます。

扶養家族とは、生活面で助けてもらう必要のある家族のことを指す言葉です。

会社にお勤めの方は年末調整時に扶養控除という言葉をよく耳にするかと思いますが、

一定の要件を満たす扶養家族がいることで税制上の特典を受けることができます。

 

また、会社で加入している健康保険でも、一定要件を満たす扶養家族であれば、

基本的に健康保険料を納めることなく健康保険の給付を受けることが可能です。

 

上記の通り、扶養家族には大きく分けて税法上の扶養家族と健康保険法の扶養家族が存在します。

しかし、同居している親族であれば、無条件に扶養家族としての要件を満たすわけではありません。

 

また、同じ「扶養家族」という言葉が使われていますが、税法上の「扶養家族」と

健康保険法の「扶養家族」では定義が異なりますので注意が必要です。

 

(2)税法上の扶養家族

所得税では控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。

ちなみに、ここでの扶養家族に配偶者は含まれません。これはなぜでしょうか。

 

所得税法では配偶者控除と扶養控除はそれぞれ別々のものと考えられていますので、

扶養している家族については、扶養控除によって所得控除を受けることとなりますが、

扶養している配偶者は、配偶者控除によって所得控除を受けることとなるためです。

配偶者には配偶者特別控除というものもあり、扶養控除よりも適用範囲が少しだけ広いです。

 

所得税法上に規定する扶養家族は、以下の4要件に全て当てはまる人が該当します。

 

・配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)であること。

・納税者と生計を一にしていること。

・年間の合計所得金額が38万円以下であること。

・事業専従者として給与の支払を受けていないこと。

 

「生計を一にしている」とは、必ずしも同居を条件としているわけではありません。

例えば、大学生の子供に対して仕送りをされている場合には扶養親族として認められます。

 

(3)健康保険法の扶養家族

健康保険上の扶養家族の範囲は、健康保険法で以下のように規定されています。

 

・配偶者、子、孫、弟妹、父母等の直系親族

・上記以外の3親等内の親族(義父母・兄姉等)で同居している人

・内縁の配偶者の父母、連れ子で同居している人

 

上記3条件のいずれかに該当すると扶養親族の範囲となりますが、75歳以上で加入する後期高齢者医療制度の被保険者となる人は

扶養家族の範囲となりませんので注意が必要です。また、扶養家族となるには収入の限度額も設けられています。

扶養家族の範囲で収入が限度額内の人は、健康保険料を納めることなく健康保険の給付を受けることが可能になります。

 

しかし、40歳から64歳の家族を被扶養者とした場合には、該当する被扶養者の介護保険料が別途必要となります。

また、収入限度額を超える場合には国民健康保険に加入するか、別途勤務先の健康保険に加入しなければなりませんので、

扶養家族の収入把握には特に注意が必要です。

 

ちなみに、国民健康保険は世帯ごとの加入となっており、保険料の計算も世帯収入に基づいて行われます。

そのため、扶養家族という概念が存在しません。

 

(4)まとめ

税法上と健康保険法では規定する扶養家族の範囲が異なります。また、双方とも収入や所得における限度額が存在し、

限度額を超えると扶養家族としての特典を受けることができなくなりますので、十分に注意してください。