減価償却ってなんですか?

           

         

                   

減価償却ってなんですか?


会計処理をする際に大切となることの1つに減価償却があります。

この減価償却に関しては、理解するのが難しい!と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで、今回は減価償却についてわかりやすくまとめてみます。

 

(1)減価償却とは

減価償却とは、時間の経過や使用により価値が減少する固定資産を取得した際に、取得費用をその耐用年数に応じて

費用計上していく会計処理のことをいいます。建物や自動車といった固定資産は、使用により価値が減少していきますので、

毎期減価償却を行い、その毎期の価値減少分を費用として計上する必要があります。

ただし土地は固定資産ですが、使用により価値が減少しないため減価償却をしません。

 

減価償却の目的は、取得費用を1回で費用とするのではなく、収益を得るために利用した期間に応じて費用計上することが、

企業会計にとって望ましいと考える「費用収益対応の原則」の考え方を実現することです。

 

たとえば、仕事用の車を500万円で購入したとします。車は通常5年位は使用しますので、仮に使用可能年数を5年とすると、

毎年100万円ずつ費用を計上するのが「費用収益対応の原則」です。買った年に500万円の費用計上ではありません。

車を5年間使用して、それにより上がってきた収益に対応する費用として処理するということです。

 

なお、減価償却の対象となる固定資産に対しては、その資産ごとに法律で細かく使用可能年数が定められています。

これは、前述のように固定資産の取得価額を出来るだけ収益を得るために用いた期間で分割をして、

計上することを目的として設けられています。「耐用年数表」と呼ばれています。

 

<耐用年数表>

https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php

 

仮に先ほどの500万円の車を1年しか使わないんだ!と主張したとしても、上記の耐用年数表に当てはめて5年に該当しますと、

5年間使用できるものとして費用計上出来る金額が決められてしまいます。ご注意ください。

 

(2)減価償却の計算方法

実際に、建物や自動車などの価値の減少がどれくらいかを調べるのは難しいです。

価値の減少を会計に反映させることを目的として、減価償却額の計算を行うためには、

取得価額を使用する年数で割った金額を費用計上する定額法と、

毎年未償却の金額から一定の割合で償却していく定率法の、2種類があります。

この2種類は税務署に届出を出すことによって、どちらも選択適用が可能です。

 

具体的な計算についてはここでは割愛させていただき、計算方法の違いについてイメージだけ掴んでもらえたらとおもいます。

 

自動車で考えるとわかりやすいのですが、新車購入後の1,000kmと、既に50,000km走っている中古車の1,000kmでは、

同じ1,000kmでも使用による価値の減少が異なります。1,000kmは1,000kmとして価値の減少を計上するのが定額法で、

購入後の1,000kmのほうが価値の減少が大きいとして計上するのが定率法の考え方です。

定額法に比べて定率法の方が早期に償却額を計上することが可能ですが、どちらの方法を選んでもトータルの償却額は

同じになるようにできていますので、償却方法については選択適用が認められています。

 

ただし、毎年コロコロ変えるようなことは出来ません。償却方法の変更は可能ですが、1度決めたら継続適用が原則になります。

 

(3)少額減価償却資産の特例

青色申告を行っている個人事業主や中小企業の方には、少額減価償却資産の特例という制度が用意されています。

これは、取得価額が30万円未満の減価償却資産に関して、一括で減価償却費として費用計上することが出来るようにするものです。

 

ちなみに、10万円未満のものに関してはこの制度とは関係なく消耗品費として計上することが出来ますので、

10万円以上30万円未満の減価償却資産について、一括で費用計上が出来るという制度になります。

 

ただし、上記の特例を使って年間総額300万円以上の費用を計上させることは出来ません。

 

(4)まとめ

減価償却は決算調整項目ですので、実際に処理を行うのは税理士もしくは経理の方が多いのですが、会計数値を読み解く上で

理解しておくことは非常に大切になります。この機会に減価償却について正しく理解をしておきましょう!