皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週木曜日に、経営者なら知っておきたい「業務効率」についての知識を解説しています。

「最近、どうも集中力が続かない」「仕事中にぼーっとしてしまう時間が増えた」

もしあなたがそう感じているなら、それは決してあなただけではありません。

多くの経営者、特に多岐にわたる業務を抱える中小企業の経営者の方々は、日々の業務の中で集中力の維持に課題を感じています。

しかし、ご安心ください。集中力は、単なる精神論ではなく、科学的なアプローチと日々の習慣によって確実に高めることができます。

本記事では、私がこれまで効果を実感してきた実践的なノウハウに基づき、集中力を高め、生産性を最大化するための具体的な方法をご紹介します。

そもそも、人間はそんなに集中できない？集中力の限界を知る

「集中力」と聞くと、長時間途切れることなく作業に没頭するイメージを持つかもしれません。

しかし、大前提として知っておいていただきたいのは、人間が連続して集中できる時間には限りがあるということです。

一流のアスリートや音楽家ですら、本当に質の高い集中力を維持できるのは、1日3〜4時間が限界だと言われています。

この事実を知るだけでも、長時間集中できない自分を責める必要がないと理解できるはずです。

重要なのは、この「集中力の限界」を前提として、いかに効率的に、そして継続的に生産性を高めていくか、という視点を持つことです。

集中力のメカニズム：エネルギーの「総量」と「消費量」

集中力を維持するためには、大きく分けて二つの要素が関係しています。

それは、「エネルギーの総量」を増やすことと、「エネルギーの消費量」を減らすことです。

1. エネルギーの総量を増やす

これは、身体的な体力や脳の疲労度と密接に関わっています。

体力がある人は集中力を持続しやすい傾向にありますし、睡眠不足や疲労が蓄積している状態では、当然ながら集中力は低下します。

• 体力の向上
  長期的な視点で見れば、適度な運動（特に有酸素運動）を取り入れることで、
  体力全体の底上げを図り、結果的に集中力を維持できる時間を長くすることが可能です。
  毎日30分程度のウォーキングなど、無理なく継続できる運動から始めてみましょう。
• 十分な睡眠
  睡眠不足は、翌日の集中力にダイレクトに影響します。
  質の良い睡眠を確保することは、エネルギーの総量を回復させる上で最も基本的な要素です。
• 健康的な食事
  脳の働きをサポートする栄養素を意識した食事も、集中力維持には不可欠です。

ただし、エネルギーの総量を劇的に増やすには時間がかかります。

遺伝的な要素も関わるため、すぐに目に見える効果を期待するのは難しいかもしれません。

2. エネルギーの消費量を減らす

こちらの方が、より即効性があり、日々の業務改善に直結しやすいアプローチと言えます。

集中する際に消費されるエネルギーをいかに少なくするか、という視点です。

• 集中を要する作業の最適化
  エネルギー消費の少ない人は、比較的集中を持続しやすい傾向にあります。
  これは、脳の使い方が効率的であるためと考えられます。
• 適切な休憩の活用
  集中力を消耗しきる前に、適切なタイミングで休憩を挟むことで、
  エネルギーの急激な低下を防ぎ、ある程度の回復を促すことができます。

まずは、この「エネルギー消費量を減らす」というアプローチから着手し、並行して「エネルギーの総量を増やす」取り組みを進めるのが賢明です。

実践！集中力を高めるための具体的な「仕事術」

ここからは、日々の業務で実践できる具体的な集中力向上テクニックをご紹介します。

1. ポモドーロ・テクニックを活用した「集中と休憩のサイクル」

人間の集中力には波があります。

その波に合わせて、計画的に「集中」と「休憩」を繰り返すことで、効率的に作業を進めることができます。

• 「50分集中＋10分休憩」の法則
  私が推奨するのは、「50分間集中して仕事に取り組む→10分間休憩」というサイクルです。
  このサイクルを繰り返すことで、集中力を保ちながら長時間の作業が可能になります。
• 休憩の質の向上
  ここで重要なのは、「休憩の質」です。
  ただぼーっとする、スマートフォンを見る、といった休憩は、
  実は脳の同じ領域を使い続けているため、十分な休息になりません。
  本当の休憩とは、脳の使う領域を変えることです。
  • 身体を動かす
    席を立って歩く、軽いストレッチをする、階段を昇り降りするなど、身体を動かすことが脳の切り替えに効果的です。
  • 人との会話
    短時間の雑談など、仕事とは直接関係ない人とのコミュニケーションも、気分転換になり、脳をリフレッシュさせます。
  • NGな休憩
    スマートフォンをいじる、SNSを見る、ゲームをするなどは、気分転換にはなっても、脳の同じ領域を使い続けるため、疲労回復には繋がりません。

2. 作業内容の「優先順位」と「タイミング」の最適化

すべての仕事が同じ集中力を必要とするわけではありません。

作業内容に応じて、取り組むタイミングを調整することで、限られた集中力を最大限に活用できます。

• 集中力を要する仕事は「午前中」に
  資料作成、戦略立案、問題解決など、脳をフル活用するような創造的で思考力の必要な仕事は、
  集中力が高まっている午前中や、疲労が少ない時間帯に行うのが効果的です。
• 集中力がなくてもできる仕事は「後回し」に
  メール返信、簡単なデータ入力、ルーティン業務など、集中力をあまり必要としない「反応的な」仕事は、
  疲労が溜まってきたり、集中力が切れやすい時間帯に回すのが良いでしょう。
  これらの仕事は、ある程度の「慣れ」と「反射」で対応できるため、エネルギー消費が少ない傾向にあります。

この「集中力がなくてもできる仕事」を疲れている時に回すことで、結果的に全体の作業時間を長く確保できるようになります。

3. 環境を整える

集中を妨げる要素を排除し、集中しやすい環境を整えることも重要です。

• 整理整頓
  散らかったデスクやPCのデスクトップは、無意識のうちに集中力を奪います。
  常に整理整頓を心がけましょう。
• 通知のオフ
  スマートフォンやPCの通知は、集中を途切れさせる最大の要因の一つです。
  作業中は通知をオフにする、見えない場所に置くなど、物理的に距離を置く工夫をしましょう。
• 静かな環境
  可能であれば、集中を妨げる音がない静かな環境で作業を行いましょう。
  難しい場合は、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンなども有効です。

集中力向上は「総合的な健康管理」

集中力を高めることは、単一のテクニックに頼るだけでは難しい側面もあります。

むしろ、それは「総合的な健康管理」の一環として捉えるべきです。

• 体力向上
  日常的な運動、特に有酸素運動を継続することで、身体的なエネルギー総量を増やす。
• 良質な睡眠
  質の高い睡眠を確保し、脳と身体の疲労を回復させる。
• 効果的な休憩
  休憩中にスマートフォンを見るのではなく、
  身体を動かしたり、人との会話を楽しんだりして、脳の使う領域を切り替える。
• 適切な仕事の割り振り
  集中力が必要な仕事は集中力がある時間帯に、そうでない仕事は集中力が落ちている時間帯に行う。

これらの要素を意識し、日々の生活と仕事に取り入れていくことで、あなたの集中力は確実に向上し、結果として生産性の最大化、そして事業成長へと繋がっていくはずです。

まとめ

集中力は、生まれつきの才能や特性だけでなく、日々の努力と工夫によって十分に高められるスキルです。

ご紹介した「エネルギーの総量を増やす」と「エネルギーの消費量を減らす」という二つの側面からアプローチし、

特に実践しやすい休憩の取り方や、仕事の割り振り方から試してみてはいかがでしょうか。

私自身も、これらの原則を実践することで、日々の業務効率を格段に向上させてきました。

中小企業経営者の皆様が、限りある時間の中で最大のパフォーマンスを発揮できるよう、今回の情報がお役に立てれば幸いです。

もし、より具体的な業務改善や生産性向上のご相談があれば、いつでもお気軽にお声がけください。

あなたのビジネスのさらなる発展を、全力でサポートさせていただきます。