停滞期を乗り越える!整理整頓がもたらす思考の整理と業務効率化

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週木曜日に、経営者なら知っておきたい「業務効率」についての知識を解説しています。

ビジネスを長く続けていると、誰もが “好調期” と “停滞期” の波を経験します。

とりわけ中小企業の経営者にとって、この波をどう乗りこなすかは事業成長の行く末を大きく左右します。

本記事では、10年以上にわたってコンサルティングを行ってきた筆者自身の実体験と、数多くの支援先で得られた知見をもとに、

「整理整頓」と「思考の整理」を軸とした停滞期脱出の具体策をご紹介します。

停滞期をどう捉えるか

売上が伸び悩んだり、新規案件が思うように決まらなかったりするとき、私たちは “流れが悪い” と感じがちです。

しかし、その停滞感はしばしば主観にすぎません。外部から俯瞰すれば、実績は前年同期比で伸びているケースすらあります。

停滞期の本質を見誤らないために、まず以下の問いを自分に投げかけてみてください。

  • 本当に数字が落ちているのか、それとも感情的な焦りなのか。
  • 悪い出来事が連鎖しただけなのか、それとも構造的な課題が潜んでいるのか。
  • 他者の視点でいまの自分・自社を評価するとどう見えるのか。

ポイントは、停滞を「長期的な低迷」と即断せず、数値と事実で状況を把握することが第一歩です。

整理整頓がもたらす三つの効果

停滞期を感じたときこそ、まずは身の回りの整理整頓から着手しましょう。

日本には古来より「祓い清める」という思想がありますが、ビジネスでも同様に “空間を整えることは心を整える近道” となります。

整理整頓には、次のように三つの主要効果があります。

ここで挙げる項目は、単なる美化活動ではなく、経営判断のクオリティを高める実践的な効能です。

整理整頓が停滞期攻略に効く理由

  • 精神を安定させる
    物理的にスッキリした環境は余計な刺激を減らし、脳のワーキングメモリを空けてくれます。
    その結果、細かな判断ミスや感情的な揺れが減少し、戦略的思考に集中できます。
  • “忙しさの錯覚” を可視化する
    雑然としたデスクやフォルダは、実際以上にタスク量が多い印象を与えます。
    整理を通じてタスクを棚卸しすると、やるべきこととやらなくてよいことの線引きが明確になり、優先順位づけが進みます。
  • 視点をスイッチするきっかけになる
    整理という行為は、いったん手を止めて全体を俯瞰する行為でもあります。
    “木” ではなく “森” を見る時間が生まれ、短期の売上より中長期の戦略に目を向けやすくなります。

上記のように、整理整頓の効用は単なるきれい好きの範疇を超えています。

作業に取りかかる前に、この効果を念頭に置いておくことで、モチベーションが持続しやすくなるでしょう。

デジタル環境の整え方

今日、多くの仕事はクラウドやローカルのファイル、チャットツール、メールといったデジタル空間で進行します。

そのため物理的なオフィスが整理されても、PC のデスクトップやクラウドストレージが乱雑なままでは “見えない散らかり” が思考を阻害します。

デスクトップをゼロにする

以下の手順は私が毎朝 5 分で行う習慣です。短時間でも効果は絶大で、午後の集中力まで違ってきます。

  1. 「進行中」と「後で処理」の二つのフォルダだけをデスクトップに置く
    ここには説明の通り、現在取り組むタスクと一時保管タスクのファイルだけを収納します。
  2. 作業開始時に「今日やるタスク」だけを「進行中」に移す
  3. 作業が完了したら、即座にクラウドストレージの正規フォルダへ格納する

これを毎朝やることで、デスクトップがアイコンで埋め尽くされていたものが、たった二つのフォルダだけになります。

この視覚的インパクトが “タスクの見える化” を強力に後押しします。

クラウドストレージの選定とフォルダ構成

クラウド利用にはセキュリティと可用性の面で大きな利点があります。

ただし、ツール選定以前に、フォルダ構造のルールを決めておくことが重要です。

  • 年度 × 部門 × プロジェクト の 3 階層を基本とする
    例:2025 Sales NewServiceLaunch
  • アーカイブ(参照のみ)とアクティブ(編集中)の階層を分ける
  • 共有設定は原則 “最小権限” でスタートし、必要時のみ権限を追加する

このような構造を定義しておくと、ファイル検索の時間ロスが減り、権限漏れによる情報流出リスクも抑制できます。

物理的な環境の整え方

デジタル環境の整頓が進んだら、次はオフィスや自宅の作業スペースを見直します。

ポイントは “視界に入る情報量” をコントロールすることです。

整理前後で体感が変わる代表的なスポット

  • デスクの上:モニター、キーボード、ペン、メモ帳以外は一度撤去し、使用頻度に応じて戻す
  • 収納棚:背表紙が古い書籍や使わないファイルボックスは一時撤去する
  • トイレ・給湯室:従業員や家族の “共用空間” こそ清潔感を高めると心理的満足度が増す

これらの場所を整えると、業務効率と従業員満足が同時に向上します。

整理整頓は経費をほとんどかけずに実施できる “最も手軽な投資” であることを再認識してください。

停滞期を乗り越えるマインドセット

整理整頓と並行して取り組みたいのが “思考の整理” です。ここでは二つの観点からマインドセットを鍛えます。

視点を意図的に引き上げる

短期の数値に一喜一憂するのではなく、期間軸を意識的に伸ばすと精神的な余裕が生まれます。

例えば、月次で赤字を計上しても、四半期単位・半期単位では黒字転換しているケースは珍しくありません。

  • 日次 → 週次 → 月次 → 四半期 → 年度 の順でレポートをレビューする
  • 経営計画書を “10 年ビジョン” と “3 年中期計画” に分けて考える

これにより、現在の課題が長期視点では単なる一過性の波であると把握でき、冷静な打ち手を打ちやすくなります。

深い呼吸を習慣化する

呼吸は最小にして最強のセルフコントロール手段です。

ビジネス上の大きな決断を下す前、私は必ず 6 秒吸って 6 秒吐く呼吸を 3 セット行います。

この 36 秒で交感神経の高ぶりが落ち着き、論理的思考が戻ってくるのを実感できます。

行動を習慣化するコツ

整理整頓もマインドセットも、一過性のイベントでは意味がありません。以下のステップで “再散乱” を防ぎましょう。

  1. 最小単位の行動から始める
    いきなり全整理を目指さず、まずは「デスク右上の書類トレイを空にする」といった 5 分タスクから始めます。
  2. 日常ルーチンに組み込む
    ・業務開始前の 5 分でデスクトップ整理
    ・昼休憩後の 3 分でメールをタグ付け処理
  3. “見える化” でモチベーション維持
    ビフォー・アフターの写真を社内チャットに投稿したり、片付いたデスクをスマホ壁紙にするなど、視覚で達成感を強化します。

おまけで、週末に 15 分だけ、1 週間の整理整頓の成果と課題を振り返る時間を設けると、PDCA がさらに加速しますのでお試しください。

まとめ――停滞期は成長への助走

停滞期にあえて整理整頓を行う理由は、それが “自ら流れを変える行為” だからです。

物理的・デジタル的な空間を整えることで思考が整理され、新しいアイデアや戦略が自然と湧きあがります。

その結果、売上改善や業務効率化といった “数字” の変化が後から追随してくるのです。

停滞を嘆くよりも、いま目の前の環境を整えるというシンプルな一歩が、次の成長曲線を描くスタートラインになります。

さあ、あなたも今日の終業後 5 分間から “整理整頓の儀式” を始めてみませんか?

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