銀行融資の攻略法:資金調達成功のカギを握る「資金使途」について

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週金曜日に、経営者なら知っておきたい「銀行融資」についての知識を解説しています。

今回は、銀行融資を円滑に進めるための資金使途の説明方法について詳しく解説していきます。

資金使途とは何か?

資金使途とは、簡単に言えば「お金の使い道」のことです。

銀行融資を申し込む際、この使い道を明確に説明することが非常に重要です。

しかし、多くの経営者が意外にもこの説明を苦手としています。

資金使途の基本的な分類

  1. 運転資金
  2. 設備資金

ただし、これだけでは不十分です。銀行員はより詳細な情報を必要としています。

運転資金の説明のポイント

運転資金の場合、以下の点を明確に説明することが重要です:

  1. 資金の具体的な用途(商品仕入れ、人件費など)
  2. 金額の内訳(商品名、単価、数量など)
  3. 支払いのタイミング
  4. 売上計画(マーケティング戦略、予想売上高など)
  5. 利益見込み

例えば、「商品仕入れのために1000万円の運転資金が必要」というだけでなく、「A商品を100個、1個10万円で仕入れ、3ヶ月以内に120万円で販売する計画があり、20%の利益を見込んでいる」といった具体的な説明が効果的です。

設備資金の説明のポイント

設備資金の場合は、以下の点に注意して説明しましょう:

  1. 購入する設備の詳細(新品/中古、メーカー、型番など)
  2. 見積書やカタログの提示
  3. 設備導入の目的と期待される効果
  4. 建物の新築・増改築の場合は、建築確認申請書の準備

特に中古設備の場合、カタログがない場合もありますが、その場合は現物の写真や型番の情報を用意しましょう。

効果的な資金使途の説明方法

1 「誰が、誰に、いつ、いくら、何の目的で」を明確に

資金使途を説明する際は、この5W1Hを意識しましょう。例えば、「来月15日に、A社に対して、新規事業用の機械購入代金として500万円を支払う予定です」といった具体的な説明が有効です。

2. 書面での説明資料を用意する

口頭での説明だけでなく、A4用紙1枚程度にまとめた資料を準備しましょう。銀行員の理解を助け、融資審査をスムーズに進める効果があります。

3. 総所要資金の概念を理解する

融資申込額だけでなく、事業や投資に必要な総額(総所要資金)を示し、そのうちの自己資金と借入希望額を明確にしましょう。

例えば、「総額1060万円の投資のうち、60万円は自己資金で賄い、1000万円を借入希望」といった説明方法です。

よくある誤解と注意点

1. 運転資金と設備資金の混同

運転資金として借り入れたお金を設備投資に使用したり、その逆を行ったりすることは避けましょう。

銀行は決算書などでチェックしており、誤った使用は信頼関係を損なう可能性があります。

2. 「いくら貸してくれますか?」は禁物

融資交渉の際、「いくら貸してくれるか」ではなく、「いくら借りたいか」を明確に伝えることが重要です。

必要額の根拠を示すことで、銀行側の理解も深まります。

資金使途内訳表の作成

効果的な資金使途の説明には、以下のような内訳表の作成が有効です:

項目詳細単価数量金額支払予定日
商品仕入れA商品10万円100個1000万円2024/11/15
人件費新規雇用2名25万円/月3ヶ月分150万円毎月末日
広告費WEB広告50万円/月2ヶ月分100万円毎月初日

このような表を用意することで、銀行側も資金の流れを具体的にイメージしやすくなります。

まとめ

銀行融資を成功させるカギは、資金使途の明確な説明にあります。

運転資金であれ設備資金であれ、具体的かつ詳細な説明を心がけることで、融資担当者とのコミュニケーションがスムーズになり、資金調達の可能性が高まります。

本記事で紹介した方法を参考に、自社の資金需要を整理し、効果的な資金使途の説明を準備してみてください。銀行融資という重要な資金調達の道が、より開かれたものとなるはずです。

資金調達の成功は、ビジネスの成長と発展につながります。適切な資金使途の説明で、銀行との良好な関係を築き、事業の飛躍に向けた強固な財務基盤を確立しましょう。