令和8年改正で孫への「教育資金贈与」が終了?今検討すべき最後の節税対策!

皆さんこんにちは。税理士の中川祐輔です。
毎週水曜日に、経営者なら知っておきたい「節税対策」についての知識を解説しています。
近年、税制改正のスピードは加速しており、「いつかやろう」と思っていた対策が、気づいたときには手遅れになっているケースが散見されます。
今回は、特に影響の大きい「教育資金の一括贈与の廃止」と「インボイス制度・電子申告等の期限」について解説します。
これらは単なる制度変更ではなく、明確な「期限」が存在する緊急案件です。
「知らなかった」では済まされない、しかし「今ならまだ間に合う」重要な情報を、現場の視点から整理してお伝えします。
経営者の「定番」資産移転策がついに廃止へ
長年、富裕層の経営者様の間で、お孫様への資産移転の「定番」として活用されてきた制度があります。
それが「教育資金の一括贈与」です。
これは、祖父母からお孫様へ、教育資金として最大1,500万円までを非課税で贈与できるという、非常に使い勝手の良い制度でした。
相続税対策としても効果が大きく、多くの方が利用されてきましたが、この制度に終止符が打たれることが決定的となりました。
期限は「令和8年3月31日」まで
この制度は、令和8年(2026年)3月31日をもって廃止されます。
これまで何度か延長が繰り返されてきましたが、今回の改正で「延長はない」という方針が固まりました。
この期限を過ぎてしまうと、お孫様への資金援助には、通常の贈与税(暦年贈与の基礎控除110万円を超える部分)が課税されることになります。
1,500万円という大きな枠を非課税で移転できる最後のチャンスが、刻一刻と迫っています。
現場で見る「駆け込み需要」のリアル
「まだ令和8年まで時間がある」
そう思われた経営者様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私ども税理士の視点から申し上げますと、「時間はない」と断言できます。
「今年中に」ではなく「今すぐ」動くべき理由
この制度の適用を受けるためには、単にお金を渡すだけではなく、金融機関(信託銀行等)での専用口座開設や契約手続きが必要です。
制度廃止が近づくにつれ、以下の事態が確実に予測されます。
- 金融機関の窓口が激しく混雑する
- 必要書類の取り寄せに時間がかかる
- 駆け込み需要により、審査や手続きが遅延する
「期限ギリギリに行けばいい」と考えていると、予約が取れなかったり、書類の不備で期限に間に合わなかったりするリスクが非常に高まります。
これは、損失回避(損をしたくない)という観点からも、決して看過できないリスクです。
「今年中に検討しよう」ではなく、「今すぐ着手する」レベルの緊急案件として捉えていただく必要があります。
個人事業主・フリーランスに迫る「インボイス特例」の終了
法人経営者様だけでなく、個人事業主やフリーランスとして活躍されている方々にも、看過できない期限が迫っています。
それが消費税のインボイス制度に関わる特例の終了です。
「2割特例」から「3割特例」への移行
インボイス制度導入に伴う激変緩和措置として、これまで消費税の納税額を「売上の2割」で済ませることができる「2割特例」が適用されていました。
事務負担や税負担を軽減するための措置でしたが、これが終了を迎えます。
今後は「3割特例」へと移行する方向で調整が進んでいますが、これは単純計算でも納税負担が増加することを意味します。
経営計画や資金繰りにおいて、これまで通りの感覚でいると、想定外のキャッシュアウト(資金流出)に直面することになりかねません。
青色申告特別控除と「電子化」の壁
もう一つ、実務の現場で意外と見落とされているのが、青色申告特別控除(最大65万円)の要件厳格化です。
「紙ベース」の処理は控除減額のリスク
現在、最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、e-Tax(電子申告)や電子帳簿保存法に対応した記帳が必須条件となっています。
これらを導入せず、従来どおりの「紙ベース」で保存・申告を行っている場合、控除額が減らされる(10万円控除になる等)方向での改正が進んでいます。
つまり、「デジタル化に対応しないこと」そのものが、増税(控除減)というペナルティに直結する時代になったのです。
事務処理の変更は面倒に感じるかもしれませんが、これを機に経理の電子化を進めることは、節税だけでなく業務効率化の観点からも不可避な流れと言えるでしょう。
「知らなかった」が一番の損失
税務の現場に身を置く人間として、最も歯がゆく、また経営者様にとって恐ろしいのは、「知らなかった」ことによる機会損失です。
ビジネスでの失敗は取り返すことができますが、税制上の「期限切れ」や「要件不備」は、後からどうあがいても取り返すことができません。
- 教育資金贈与の廃止期限
- インボイスの特例期間の終了
- 青色申告の電子化対応
これらはすべて、事前に情報を掴み、適切に行動さえしていれば防げる「損」です。
逆に言えば、情報のアンテナを張り、早めに対策を講じることで、手元に残る資金を確実に守ることができるのです。
専門家を「セカンドオピニオン」として使う
顧問税理士がいらっしゃる場合でも、こうした法改正のトピックについて、貴社の状況に即した具体的な提案がなされていないのであれば、一度立ち止まって考える必要があります。
税制は生き物であり、最適な解は企業のフェーズや経営者様の資産背景によって異なります。
- 廃止前の贈与枠を使い切るべきか否かのシミュレーション
- インボイス移行に伴う、もっとも有利な課税方式の選択
- 電子帳簿保存へのスムーズな移行実務
これらについて、現状の対策に少しでも不安や疑問をお持ちであれば、ぜひ当事務所の知見をご活用ください。
まずは専門家の視点を入れることで、貴社の現状における「リスク」と「機会」を整理してみてはいかがでしょうか。

