暦年贈与はもう古い?社長が今すぐ見直すべき節税対策の新常識!

皆さんこんにちは。税理士の中川祐輔です。

毎週水曜日に、経営者なら知っておきたい「節税対策」についての知識を解説しています。

新たな年を迎え、経営者の皆様におかれましては、本業の更なる飛躍に向けた事業計画や、具体的な売上・利益目標の策定に余念がないことと存じます。

しかし、ここで一つあえてお尋ねしたいことがあります。

会社の数字については緻密な戦略をお持ちの社長でも、ご自身の「資産防衛」については、ついつい後回しになっていないでしょうか?

「個人の対策は、まあ落ち着いてからでいいだろう」

「節税対策といえば、とりあえず毎年110万円の贈与(暦年贈与)をしておけば間違いない」

もし、そのように「従来の常識」のままお考えだとしたら、少し危機感を持っていただいた方が良いかもしれません。

その情報は、残念ながら少し古くなってしまっています。

2024年1月からの税制改正により、これまで「王道」とされてきた対策の効果が薄れ、資産防衛の世界には新たな「常識」が生まれつつあります。

今回は、忙しい経営者の皆様にこそ知っていただきたい、時間を使わず、かつ効率的に資産を守るための「新しい選択肢」についてお話しします。

「持ち戻し7年」の衝撃。時間をかける対策はリスクになった

これまで長きにわたり、相続税対策の主流は間違いなく「生前贈与」でした。

年間110万円の基礎控除枠を使い、コツコツと子や孫へ資産を移す。

あるいは、あえて少し贈与税を払ってでも早めに資産を移転し、将来の相続財産を減らしておく。

これが一般的なセオリーでした。

しかし、2024年1月1日以降、このルールが厳格化されたことをご存じでしょうか。

いわゆる「生前贈与の持ち戻し期間」が、これまでの3年から7年に延長されたのです。

「持ち戻し」とは何か?

専門用語になりますが、「持ち戻し」とは、被相続人(社長)が亡くなる直前に贈与した財産を、相続税の計算時に「無かったもの」として足し戻して計算するルールのことです。

これまでは「亡くなる前3年間」の贈与が無効(相続財産扱い)とされていましたが、これが「7年間」に延びてしまいました。

これは経営者にとって何を意味するでしょうか。

例えば、2024年に行った贈与が、相続税対策として完全に有効(持ち戻しの対象外)になるのは、7年経過した2031年以降ということになります。

対策の効果が確定するまでに、これほど長い期間を要するようになったのです。

「10年かけてコツコツ贈与すればいい」というこれまでの手法は、将来の健康状態や税制の変化など「時間の不確実性」というリスクを抱えることになり、以前よりも打ち出しにくい策となってしまったのが現状です。

新常識は「現金を不動産に変えて」一気に渡す

では、時間をかけずに、かつ確実に資産を次世代へ移転するにはどうすればよいのでしょうか。

「時間」がリスクになるのであれば、時間をかけない方法を選択すべきです。

そこで今、新たな選択肢として私が現場で提案し、多くの経営者様に関心を持っていただいているのが「小口不動産」の活用です。

現金と不動産の「評価」の違い

ご存じの方も多いかと思いますが、相続税や贈与税における財産の評価方法は、現金と不動産で大きく異なります。

  • 現金1億円:評価額はそのまま1億円
  • 不動産1億円:評価額は3,000万円〜4,000万円程度まで圧縮可能

現金を持っているだけでは、額面通りの税金がかかります。

しかし、これを不動産という「形」に変えるだけで、評価額を大幅に圧縮することが可能です。

ここでポイントとなるのが「小口不動産」という仕組みです。

都心の一等地に建つような大型で優良な不動産を小口化(例えば一口100万円〜など)し、現物不動産として所有できる商品です。

これにより、多額の資金で一棟買いをしなくとも、必要な分だけ資産を組み替えることが可能になります。

「タワマン節税」との違い

鋭い経営者の方であれば、「不動産による節税は、タワーマンション節税のように規制されたのではないか?」と疑問に思われるかもしれません。

ここが非常に重要なポイントです。

今回ご紹介している小口不動産は、最近規制が強化された「タワーマンション節税(区分所有)」とは異なり、評価額引き上げの影響を受けにくい性質を持っています。

法的な細かい解説は割愛しますが、「規制のリスクを回避しつつ、不動産特有の評価減メリットを享受できる」という点で、極めて実務的な選択肢と言えます。

贈与税が約8分の1に?数字で見れば効果は歴然

この「評価額の圧縮効果」を生前贈与に活用すると、具体的にどれほどのインパクトがあるのでしょうか。

言葉で説明するよりも、数字を見ていただいた方が早いでしょう。

個別相談でもよくご紹介する、現金2,000万円を贈与する場合のシミュレーションをご覧ください。

【ケースA】現金で2,000万円をそのまま贈与する場合

現金は額面通り評価されるため、累進課税により非常に高い税率が適用されます。

贈与税額:約695万円

せっかく2,000万円を渡そうとしても、約700万円、つまり3割以上が税金として消えてしまいます。

これでは資産移転として効率が悪すぎます。

【ケースB】小口不動産2,000万円分を贈与する場合

現金を小口不動産に換えてから贈与します。

評価額が約600万円程度まで下がると仮定して計算します。

贈与税額:約82万円

いかがでしょうか。約695万円かかっていた税金が、約82万円にまで圧縮されました。

同じ「2,000万円分の価値」を移転しているにもかかわらず、資産の形を変えるだけで、税負担を劇的に、約8分の1程度にまで抑えることができるのです。

「10年かかっていた贈与」が「2年」で完了するスピード感

この手法の最大のメリットは、単なる節税額の多寡だけではありません。

私が最も強調したいのは、「スピード」です。

先ほどのシミュレーションの通り、小口不動産を活用すれば、一度に大きな金額を低負担で贈与することが可能です。

これまで暦年贈与を使って「10年かけてコツコツ行っていた贈与」が、この方法ならわずかな期間、極端に言えば1年や2年で完了します。

私の著書でも触れていますが、まさに「10年かかっていた贈与が2年でできる」というスピード感こそが、この対策の真骨頂です。

「持ち戻し7年」というルールにより、時間をかけることがリスクになった今、「短期間で、確実に、大きな資産を移転する」ことの価値は、以前にも増して高まっています。

まとめ:資産防衛も「スピード」と「効率」の時代へ

今回の税制改正は、私たちに「資産防衛の戦略転換」を迫っています。

時間をかけてコツコツ行う対策は、もはやリスクが高く、非効率なものになりつつあります。

また、昨今の円安やインフレの進行を鑑みれば、日本円(現金)だけで資産を持ち続けること自体、価値の目減りというリスクに晒されているとも言えます。

これからの社長に求められるのは、単に現金を右から左へ動かすことではなく、「資産の組み替え」という視点です。

現金を不動産という「形」に変えて、評価額を下げつつ、スピーディーに次世代へバトンを渡す。

これが、新しい時代の資産防衛の「常識」です。

本業でお忙しい社長だからこそ、手間と時間をかけない効率的な手法を選んでいただきたいのです。

今年はぜひ、ご自身の資産構成を見直し、効率の良い「守り」の戦略を立ててみてはいかがでしょうか。

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