税務調査に強い会社を作る!税務調査における最大のリスクと対策法

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週月曜日に、経営者なら知っておきたい「税務調査」についての知識を解説しています。

皆さんにとって、「税務調査」という言葉は心配の種となることが多いでしょう。

しかし、適切な準備と対策を行えば、この不安を軽減し、スムーズに調査を乗り越えることができます。

本記事では、税務調査で最も負担が重くなるケースと、その対策法について詳しく解説します。

税務調査で負担が重くなるケース

税務調査で負担が重くなる主なケースは以下の3つです:

脱税が発覚した場合

脱税が発覚すると、通常の追徴税額に加えて重加算税が課されます。

重加算税は追徴税額の35%にも上り、通常の過少申告加算税(10%)と比べて大きな差があります。

例:

  • 追徴税額100万円の場合
  • 過少申告加算税(10%):10万円
  • 重加算税(35%):35万円

さらに、脱税の場合は調査対象期間が最長7年間に延長される可能性があります。

これにより、負担額が大幅に増加する恐れがあります。

帳簿書類や領収書が保管されていない場合

適切な帳簿書類や領収書が保管されていないと、以下のような不利益を被る可能性があります:

  1. 経費の立証が困難になり、認められる金額が減少
  2. 消費税の計算に影響し、納税額が増加
  3. 取引先への反面調査が行われる可能性が高まる

特に消費税については、領収書の有無で納税額が大きく変わる可能性があるため注意が必要です。

無申告の場合

確定申告を行っていない「無申告」の状態は、税務署が特に注目している項目です。無申告の場合、以下のようなリスクがあります:

  1. 調査対象期間が長期化(通常5年分)
  2. 所得税、住民税、消費税などが一括で請求される
  3. 加算税(無申告加算税)が課される

税務調査への対策法

では、これらのリスクを回避し、税務調査を乗り越えるための対策を見ていきましょう。

適切な記帳と帳簿書類の保管

最も基本的かつ重要な対策は、日々の取引を正確に記帳し、帳簿書類や領収書を適切に保管することです。

具体的な対策:

  • 毎日の売上と経費を記録する
  • 領収書やレシートを7年間保管する
  • クラウド会計ソフトを活用し、デジタル化を進める

定期的な自主点検

税務調査に備えて、定期的に自社の会計処理を点検することが重要です。

具体的な対策:

  • 四半期ごとに売上と経費の推移を確認する
  • 年に1回、税理士に依頼して財務諸表のチェックを行う
  • 業界平均と比較し、異常値がないか確認する

修正申告の活用

万が一、申告内容に誤りがあることが判明した場合は、速やかに修正申告を行うことが重要です。

具体的な対策:

  • 誤りに気づいたら、すぐに税理士に相談する
  • 税務署から調査の連絡がある前に修正申告を提出する
  • 修正申告書の作成は専門家に依頼し、正確性を確保する

消費税の適切な管理

消費税は特に注意が必要な税目です。以下の対策を講じましょう。

具体的な対策:

  • 課税取引と非課税取引を明確に区分する
  • インボイス制度への対応を進める
  • 消費税の納税額を定期的に試算し、資金繰りに反映させる

専門家の活用

税務に関する知識やノウハウを持つ専門家を活用することで、多くのリスクを回避できます。

具体的な対策:

  • 顧問税理士と契約し、定期的にアドバイスを受ける
  • 税務セミナーや勉強会に参加し、最新の税制改正情報を入手する
  • 税務調査の経験がある税理士に相談し、事前対策を立てる

税務調査を受けることになったら

実際に税務調査を受けることになった場合、以下の点に注意しましょう。

冷静な対応

調査官に対して敵対的な態度をとらず、冷静に対応することが重要です。

具体的な対応:

  • 調査の目的や範囲を確認する
  • 質問には簡潔かつ正確に答える
  • 不明な点は「確認して後ほど回答する」と伝える

資料の準備

調査官から要求される資料を速やかに提出できるよう、事前に準備しておきましょう。

準備すべき資料の例:

  • 帳簿書類(総勘定元帳、仕訳帳など)
  • 決算書類
  • 確定申告書
  • 領収書やレシート
  • 契約書や見積書

専門家の同席

可能な限り、税理士など専門家の同席を依頼することをおすすめします。

専門家同席のメリット:

  • 専門的な質問に適切に回答できる
  • 調査官とのコミュニケーションをスムーズにする
  • 調査結果の検討や交渉を的確に行える

まとめ

税務調査は皆さんにとって大きな負担となる可能性がありますが、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減できます。

日々の適切な記帳と帳簿管理、定期的な自主点検、そして必要に応じた専門家の活用が、税務調査を乗り越えるための鍵となります。

税務調査に対する不安や疑問がある場合は、早めに税理士に相談することをおすすめします。

専門家のアドバイスを受けることで、個々の状況に応じた最適な対策を立てることができ、安心して事業に専念できるでしょう。

税務調査は避けられないものですが、それを恐れるのではなく、適切に備えることで、むしろ自社の財務体質を強化するチャンスと捉えることができます。

本記事で紹介した対策を実践し、税務調査に強い事業体制を築いていきましょう。