令和8年改正で仮想通貨の税金が20%に?経営者が今考えるべき節税対策

皆さんこんにちは。税理士の中川祐輔です。

毎週水曜日に、経営者なら知っておきたい「節税対策」についての知識を解説しています。

経営者の皆様は、個人の資産形成や節税対策においてもお悩みは尽きないことと存じます。

特に近年、資産ポートフォリオの一部として「暗号資産(仮想通貨)」を保有される経営者の方が増えています。

しかし、そこで常に大きな壁として立ちはだかってきたのが「税金」の問題でした。

今回は、資産家や投資家にとって見逃せない「暗号資産税制の改正」に関する最新トレンドと、それと同時に進行している富裕層への課税強化、いわゆる「1億円の壁」の是正について解説します。

これらは単なるニュースではなく、皆様の今後の「出口戦略」を左右する重要な分岐点となります。

ついに終わるか?「億り人」を苦しめた税金地獄

暗号資産(仮想通貨)をお持ちの経営者の方にとって、長年の懸念事項であった税制がついに変わろうとしています。

これはまさに「ビッグニュース」と言って差し支えないでしょう。

これまで、暗号資産で得た利益は「雑所得」として総合課税の対象でした。

本業の役員報酬などと合算されるため、所得の高い経営者の場合、住民税と合わせて最大約55%もの税率が適用されてきました。

「リスクを取って利益を出しても、半分以上持っていかれる」

この構造が、日本の投資家にとって大きな足かせとなっていたのです。

株式同様の「申告分離課税」へ

今回の改正見通しにおける最大のポイントは、暗号資産の税金が、上場株式やFXなどと同じ「申告分離課税」へ変更されるという点です。

これにより、給与所得など他の所得額にかかわらず、税率は一律約20%(所得税15%+住民税5%)となる見込みです。

最大55%から20%への大幅な減税は、資産形成のスピードを劇的に加速させる可能性があります。

暗号資産が「まともな金融商品」になる日

税率の引き下げと同じくらい、あるいはそれ以上に実務的なインパクトが大きいのが、「損失の繰越控除(3年間)」が可能になるという点です。

これまでの雑所得扱いでは、ある年に大きな損失を出しても、それを翌年の利益と相殺することはできませんでした。

例えば、以下のような悲劇的なケースが散見されました。

  1. 前年に大きな利益が出て、多額の納税義務が確定する。
  2. 納税資金を用意する前に相場が暴落し、翌年は大損をする。
  3. 手元に資金がないのに、前年分の高額な税金だけは支払わなければならない。

「今年は大損したけど、税金だけはしっかり取られた」という理不尽な事態が、この繰越控除の導入によって解消されます。

翌年以降3年間にわたって損失を繰り越し、将来の利益と相殺(損益通算)できるようになるからです。

この変更は、暗号資産が投機的な対象から、株式と同様にリスクヘッジが可能な「まともな金融商品」として、国に認められ始めたことを意味していると私は捉えています。

【重要】海外取引所利用者が注意すべき「国内還流」

ただし、この恩恵を受けるためには重要な条件が付く見込みです。

それは、対象が「国内取引所」などに保管された資産に限られる可能性が高いという点です。

節税や取り扱い銘柄の多さを理由に、海外取引所に資産を置きっぱなしにされている経営者の方も多いかもしれません。

しかし、改正の恩恵を享受するためには、今のうちに資産の国内還流(国内取引所への送金・移動)を検討すべき段階に来ています。

制度が施行されてから慌てるのではなく、今のうちから口座の整理や送金ルートの確認を行っておくことが、実務的には非常に重要です。

富裕層を狙い撃ちする「1億円の壁」是正措置

一方で、すべての改正が投資家にとって有利なわけではありません。

国はアメを与える一方で、しっかりとムチも用意しています。

それが、いわゆる「1億円の壁」に対する是正措置です。

通常、所得税の負担率は所得が増えるほど高くなりますが、所得が1億円を超えると逆に負担率が下がっていく現象があります。

これを「1億円の壁」と呼びます。

これは、富裕層の所得の多くが、税率の低い(一律約20%)株式譲渡益などで構成されているためです。

国はこの状況を是正するため、超富裕層に対する課税強化を打ち出しています。

所得3.3億円超で追加課税が発生

具体的には、給与所得や株式譲渡益などを合算した合計所得金額から、特別控除額(3.3億円)を引いた金額に対し、追加の課税が行われる仕組みです。

「年間所得3.3億円なんて、自分には関係ない」と思われるかもしれません。

しかし、経営者にとってこれは対岸の火事ではありません。

  • M&A(バイアウト)で会社を売却した
  • 事業承継の過程で、大量の自社株を売却した

こういった「一生に一度」の大きなイベントが発生した年には、突発的に所得が基準を超える可能性があります。

この制度改正により、令和9年(2027年)からは実質的な最大税率が上がることになります。

会社売却や株式の現金化を検討されている場合、この「令和9年」というタイムリミットを意識したスケジューリングが必要になってきます。

税理士・コンサルタントとしての提言

今回の税制改正のトレンドから読み取れる国のメッセージは明確です。

それは「現預金で貯め込むな、投資せよ」ということです。

しかし、ただ闇雲に投資をすればよいわけではありません。

私たち専門家が推奨するのは、ご自身一人で資産を抱え込まず、家族全体で資産を守るアプローチです。

NISAと生前贈与を組み合わせた「家族分散」

これからの最大の節税対策は、「家族への資産分散」です。

新制度により恒久化・拡充されたNISAなどの非課税枠をご自身がフル活用することはもちろん、次世代への資産移転も重要です。

現在の新NISAは18歳以上が対象ですが、お子様やお孫様が0歳のうちから「暦年贈与(年間110万円以内の非課税贈与)」を活用して資産を移しておけば、将来彼らがNISAを始める際の元手になります。

このように、家族全体で時間を味方につけることがカギとなります。

自分一人の口座で利益を出し続ければ、前述の「高所得者への課税強化」の網にかかります。

しかし、贈与などを通じて資産を家族に移転し、それぞれの非課税枠や低い税率区分を活用して運用すれば、トータルの税負担は劇的に下がります。

戦略的な「出口」の計画を

暗号資産の税率引き下げと、超富裕層への課税強化。

この2つの波は、同時にやってきます。

  • 暗号資産の出口戦略(いつ、どの取引所で利益確定するか)
  • 株式・会社売却のタイミング(令和9年の増税前に実行するか)

これらは、もはや「相場観」だけで決めるものではなく、緻密な「税務シミュレーション」に基づいて決定すべき経営課題です。

想定外の税負担で手残り資金を減らさないためにも、ぜひ早めに専門家へご相談いただき、戦略的な資産防衛計画を立てることをお勧めいたします。

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