売上アップの基本:成果を出す販促予算の配分方法
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週火曜日に、経営者なら知っておきたい「売上増加」についての知識を解説しています。
本記事では、多くの経営者様が頭を悩ませる「販促予算の使い方」について、具体的な方法をご紹介します。
特に、限られた予算で最大の効果を出すための配分方法と、その考え方をお伝えしていきます。
よくある予算配分の失敗パターン
「毎月同じように予算を使っているのに、効果が今一つ…」
「繁忙期に予算が足りなくなってしまって」
「思いつきで販促を打っても、結果に結びつかなくて」
こんなお悩み、とてもよく耳にします。
実は、ほとんどの場合、予算の「配分方法」を見直すだけで改善できるんです。
成功企業に共通する予算配分の特徴
ある玩具店のオーナー様は、こう話してくれました。
「以前は毎月均等に予算を使っていました。でも、売上の良い12月にもっと予算をかければ良かったんです」
実は、販促で成果を出している企業には、ある共通点があります。
売れる時期に予算を集中
「それって当たり前では?」
そう思われるかもしれません。でも、意外とできていないんです。
例えば、あるラーメン店では:
- 夏場は売上が落ちる
- でも、販促予算は均等に配分
- 結果、効果が薄い
これを次のように変更しました:
- 夏場の予算を3割削減
- 代わりに秋の行楽シーズンに集中投資
- その結果、年間売上が15%アップ
予算配分の黄金ルール
「でも、うちは予算が少なくて…」
そんな声もよく聞きます。でも、予算が少ないからこそ、効果的な配分が重要なんです。
まずは「勝負月」を決める
私がお客様にまずお伝えしているのは、「全ての月を頑張る必要はない」ということ。
例えば、居酒屋さんの場合:
- 12月:忘年会シーズン
- 3-4月:歓送迎会シーズン
- 7-8月:暑気払いシーズン
このように、自然と売上が上がりやすい月があるはずです。まずは、その月に予算を集中させましょう。
具体的な配分方法
「でも、具体的にどうやって?」
ある衣料品店での成功例をご紹介します。
年間の販促予算が120万円の場合:
- 通常月:5万円
- 勝負月(年4回):20万円
- 予備費:20万円
「予備費って必要ですか?」
はい、これが実は大切なんです。思わぬチャンスや、突発的な対応に使えるからです。
予算配分の実践ポイント
その1:季節指数を味方につける
前回お話しした季節指数を思い出してください。
「売上が自然と伸びる月に、さらに予算をかける」
この単純な考え方が、実は最も効果的なんです。
その2:競合の動きを見る
「ライバル店が強い月は避ける」
そう考えがちですが、実はその逆も有効です。例えば:
- 競合が広告を打つ時期に合わせて販促
- お客様の目に触れる機会が増える
- 比較される機会も増える
つまり、自社の強みを最大限アピールするチャンスなんです。
具体的な予算の使い方
「予算は集中させる」というのは分かりました。でも、その予算で何をすればいいのでしょうか。
勝負月の予算活用例
ある和菓子店の成功事例をご紹介します。
「お彼岸の時期に、今までの3倍の予算をかけました」
具体的な使い道は:
- 新商品の開発費:7万円
- チラシ制作と新聞折込:8万円
- SNS広告:5万円
「今までの3倍って、かなりのリスクでは?」
いいえ。実は、以下の理由で、むしろリスクは低かったんです。
- もともと売れる時期
- 固定客が多い時期
- 新規客が増える時期
結果、投資額の5倍以上の売上増を達成できました。
予算配分の見直しポイント
「うちも、すぐに始められますか?」
はい。まずは以下の3つのステップから始めましょう。
ステップ1:過去データの確認
- 月別の売上推移
- 曜日別の傾向
- イベントによる変動
ステップ2:重点月の選定
- 四半期に1回程度
- 業界の特性に合わせる
- 競合店の動向も考慮
ステップ3:具体的な配分
- 重点月は通常の3倍程度
- 予備費は必ず確保
- 効果測定の仕組みも作る
おわりに
「予算配分を変えるだけで、こんなに変わるんですね」
お客様からいただいた言葉です。
確かに、今までの予算配分を変更するのは、少し勇気がいるかもしれません。
でも、「選択と集中」は、限られた予算で最大の効果を出すための必須戦略なんです。
次回は、「売れ筋商品の見極め方と分析手法」について、具体例を交えながらご紹介していきます。お楽しみに。