売上アップの基本:売れ筋商品の見極め方と分析手法
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週火曜日に、経営者なら知っておきたい「売上増加」についての知識を解説しています。
本記事では、多くの経営者が悩む「どの商品に力を入れるべきか」という課題について、実践的な分析方法をご紹介します。
特に、売上アップに直結する商品の見極め方と、その活用法をお伝えしていきます。
商品分析でよくある落とし手
「売上の高い商品が一番大事ですよね?」
実は、そう単純ではありません。ある文具店のオーナー様はこう話してくれました。
「売上は高いけど、利益が出にくい商品に力を入れすぎて…」
「人気商品なのに、在庫切れを起こしてしまって」
「新商品に目を奪われて、地味だけど安定している商品をないがしろに」
成功店舗に共通する3つの視点
商品分析で成果を上げているお店には、共通する視点があります。
その1:粗利額をチェックする
「売上と粗利は違います」
ある雑貨店のオーナー様が教えてくれた言葉です。
「1個500円の商品を100個売るのと、1個5,000円の商品を8個売るのでは、売上は近いですが、粗利は全然違うんです」
その2:販売個数を見る
あるカフェでは、意外な発見がありました。
「実は、一番人気のパフェより、普通のコーヒーの方が利益に貢献していたんです」
なぜでしょう?
- 注文頻度が高い
- 作業効率が良い
- 材料の無駄が少ない
その3:成長率に注目
「前年と比べて、どれくらい伸びているか」
これが、実は大きなヒントになります。
商品分析の具体的な手順
「分析って、難しそう…」
いいえ、そんなことはありません。まずは、こんな簡単な表から始めてみましょう。
商品を4つに分類する
ある洋服店での分析例をご紹介します。
販売個数(横軸)と単価(縦軸)で表を作ります:
- 右上:「高単価×よく売れる」定番商品
- 右下:「低単価×よく売れる」集客商品
- 左上:「高単価×あまり売れない」特別商品
- 左下:「低単価×あまり売れない」要注意商品
「うちの商品、どこに入るかな?」
そうです。まずは、自店の主力商品をこの表に当てはめてみましょう。
意外な発見がある
あるパン屋さんでは、こんな発見がありました。
「菓子パンは低単価だけど、実は一番お客様を呼んでくれる商品だったんです」
そう気づいてから、次のように戦略を変更:
- 菓子パンで来店を促す
- 店内で高単価の食パンをアピール
- 結果、全体の売上が2割アップ
商品の役割を明確にする
「じゃあ、売れない商品は全部やめればいい?」
そう単純ではありません。商品にはそれぞれ役割があるんです。
集客商品の活用法
「安いけどよく売れる商品」の使い方:
- チラシの目玉商品に
- 店頭でアピール
- 新規のお客様を呼び込む
収益商品の育て方
「高単価でそこそこ売れる商品」の伸ばし方:
- 接客時に丁寧に説明
- 商品知識を深める
- 既存客への販売を強化
データに基づく品揃えの見直し
「でも、新商品も入れていかないと…」
そうですね。でも、その前にまずは現状をしっかり見てみましょう。
成長商品を見つける
お菓子屋さんでの事例です。
「どら焼きの売上が、じわじわ増えていることに気づいたんです」
具体的な数字を見ると:
- 1年目:月200個
- 2年目:月240個
- 3年目:月300個
お客様の声を聞いてみると、「しっとりした生地が好評」とのこと。これをヒントに新商品開発のヒントが見えてきました。
定番商品を大切にする
ある文房具店の教訓です。
「新商品に気を取られて、定番の筆記具の在庫が切れてしまったんです」
実は、定番商品こそ、多くのお客様の「来店理由」になっています。
大切なポイント:
- 定番品の在庫は必ず確保
- 関連商品との組み合わせを考える
- 使い方の提案を忘れない
明日からできる!商品分析のコツ
「難しい分析ツールがないと…」
いいえ、まずはシンプルに始めましょう。
今日からできること
- 売上ベスト10を書き出す
- それぞれの粗利を計算する
- 前年と比較してみる
「たったこれだけ?」
はい。このシンプルな3ステップから、多くの気づきが生まれるはずです。
おわりに
「商品分析って、意外と身近なものなんですね」
あるお客様からいただいた言葉です。
難しい分析も大切ですが、まずは目の前の商品としっかり向き合うこと。そこから、新しい可能性が見えてくるはずです。
次回は「確実に成果を出す販促施策の選び方」について、すぐに使える具体例をご紹介していきます。お楽しみに。