銀行融資の新規開拓!門前払いを防ぐ「裏ワザ」アプローチ

皆さんこんにちは。税理士の中川祐輔です。

毎週金曜日に、経営者なら知っておきたい「銀行融資」についての知識を解説しています。

経営者の皆様は、リスク分散のために「複数の金融機関と付き合うべき」という話を聞いたことがあるかと思います。

特に、メガバンクだけでなく、地銀や信用金庫といった地域密着型の金融機関とのパイプを持っておくことは、企業の安定経営において非常に重要です。

しかし、頭では分かっていても、いざ実行に移そうとすると高い壁にぶつかるのが現実ではないでしょうか。

新しい銀行の窓口に行き、融資の相談を持ちかけたとき。

「なぜ、いつものメインバンクさんで借りないのですか?」

「一見(いちげん)さんへのご融資は、少々難しくて……」

このように言われ、またたく間に断られてしまう――いわゆる「門前払い」です。

勇気を出して新規開拓に行ったのに、まともに話も聞いてもらえない。

これは経営者として非常にストレスが溜まる経験ですし、「やっぱり新規取引は無理なのか」と諦めてしまう方も少なくありません。

そこで今回は、そんな「門前払い」を回避し、スムーズに新規口座を開設して融資取引をスタートさせるための「裏ワザ」をご紹介します。

現場で多くの経営者をサポートしてきた経験から言えることは、銀行員への「アプローチの角度」を少し変えるだけで、彼らの反応は劇的に変わるということです。

銀行員が「一見さん」を警戒する本当の理由

まず、具体的なテクニックのお話をする前に、敵を知る――つまり「なぜ銀行員は新規の飛び込み客を警戒するのか」を理解しておきましょう。

銀行員が最も恐れるのは、貸したお金が返ってこないこと、つまり「貸し倒れ」です。

何の紹介もなく、突然窓口に現れて「お金を貸してほしい」と言う経営者に対して、銀行員は反射的にこう疑います。

  • 「メインバンクに見放されたのではないか?」
  • 「資金繰りが相当悪化していて、駆け込みで来たのではないか?」

つまり、理由もなく「貸して」と言うだけでは、「怪しい客(リスクが高い客)」というレッテルを貼られてしまうのです。

これでは、どんなに素晴らしい事業計画を持っていても、審査の土俵に上げてもらうことすらできません。

では、どうすればよいのでしょうか。

「お金を貸して」ではなく「制度を使いたい」と言う

門前払いを防ぐための最大のポイントは、「御行でしか扱えない(あるいは得意としている)制度を使いたい」という明確な理由を用意することです。

「お金に困っているから来た」のではなく、「前向きな事業展開のために、御行の機能が必要だから来た」というスタンスに変えるのです。

銀行員としても、自社の取り扱い制度を利用したいという顧客を、理由もなく追い返すことはできません。

ここからは、私が実務でよく提案している、具体的な2つの「切り出しツール」をご紹介します。

【裏ワザ1】POファイナンスを「挨拶代わり」に使う

一つ目のツールは、「POファイナンス」です。

聞き慣れない言葉かもしれませんが、これは補助金に採択された際、その交付決定額を担保のように見なしてつなぎ融資を受けることができる仕組みのことです。

通常、補助金は事業を実施し、経費を支払った「後」に入金されます。

そのため、一時的な資金の持ち出しが発生しますが、その期間の資金繰りを支えるのがこの制度です。

資金調達手段としてではなく「ドアノックツール」として使う

正直に申し上げますと、純粋な資金調達の手段として見た場合、POファイナンスが「最強」かというと、必ずしもそうではありません。

補助金は採択されても、手続きの不備などで減額されたり支給されなかったりするリスクがゼロではないため、銀行側も「確実に入金される債権」とは見なしにくい側面があるからです。

しかし、「銀行開拓のツール」としては最強の武器になります。

その理由は、POファイナンスを取り扱っている金融機関が限定されている(あるいは提携している)ケースがあるからです。

銀行員の心理を変える「魔法のフレーズ」

もし、あなたがターゲットにしたい銀行(地銀や信金)が、POファイナンスの提携金融機関だった場合、窓口でこう切り出してみてください。

「実は今回、補助金が入る予定がありまして、POファイナンスを利用したいと考えています。ただ、いつものメインバンクさんがこの制度に対応していなくて……。御行は対応されていますよね?」

このフレーズの威力は絶大です。

銀行員の中でのあなたの評価は、以下のように180度変わります。

  • Before
    「メインバンクに断られた、資金繰りの怪しい客」
  • After
    「前向きな理由があり、制度利用のためにあえて当行を選んでくれた客」

「メインバンクが対応していないから、御行に来た」というのは、銀行員にとって非常に納得感のある、かつ自尊心をくすぐる理由になります。

これをきっかけにまずは口座を作り、POファイナンスの実績を作る。そこから徐々に通常の融資取引へと広げていくのです。

【裏ワザ2】経営力向上計画で「公庫」を攻略する

二つ目のツールは、日本政策金融公庫(以下、公庫)の攻略です。

政府系金融機関である公庫も、中小企業にとって重要な資金調達先ですが、ここでも「手ぶら」で行ってはいけません。

おすすめなのが、「経営力向上計画」の認定を活用する方法です。

「節税」だけではない、融資への絶大な効果

「経営力向上計画」と聞くと、多くの経営者の方は「即時償却」や「税額控除」といった節税メリットを思い浮かべるかもしれません。

もちろんそれも大きなメリットですが、実は融資においても絶大な効果を発揮することをご存じでしょうか。

この計画書は、国(担当省庁)が「この企業の経営力向上に向けた取り組みは適切である」と認定したお墨付きの書類です。

これを公庫の面談に持参することで、状況が一変します。

「新事業活動促進資金」で有利な条件を引き出す

経営力向上計画の認定を受けていると、公庫の「新事業活動促進資金」などの制度融資に申し込むことが可能になります。

これは、通常の貸付よりも金利が優遇されたり、審査面で柔軟な対応が期待できたりする制度です。

銀行員(公庫の担当者)に対して、「ただ運転資金が足りないから貸してほしい」と言うのと、「国に認定された計画に基づいて事業を行うため、この制度融資を使いたい」と言うのとでは、説得力が天と地ほど違います。

  • 一般の申込
    審査担当者がゼロから事業の妥当性を判断しなければならない。
  • 認定ありの申込
    「国が認めた計画」という後ろ盾があるため、審査の土俵に上がりやすい。

つまり、担当者が稟議書(融資の申請書)を書く際の「強力な材料」を、こちらから提供してあげることになるのです。

まとめ:銀行員に「この社長は詳しい」と思わせる

今回ご紹介した「POファイナンス」と「経営力向上計画」。

これらに共通しているのは、「こちらから銀行側に明確な『提案』をしている」という点です。

銀行員は、金融の制度や仕組みをよく知っている経営者に一目置きます。

彼らもプロですから、対等に話ができる経営者、あるいは自分たちの業務フローを理解してくれている経営者とは、長く付き合いたいと思うものです。

これまでの、「何も知らないから教えてください」「とにかく貸してください」というスタンスを捨ててみましょう。

「この制度を使いたい」と、プロとして対等に交渉すること。

これこそが、門前払いを回避し、新規開拓を成功させる一番の近道であり、私が多くのクライアント様にお伝えしている「極意」です。

次の一歩を踏み出すために

「理屈はわかったけれど、自社の場合どう切り出すのがベストだろう?」

「POファイナンスや経営力向上計画、うちの会社でも使えるの?」

「銀行に行く前に、一度作戦会議をしてシミュレーションしたい」

そう思われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

御社の業種や現在の財務状況に合わせて、どの銀行に、どのカードを切ってアプローチすべきか、「最強の切り出し方」を一緒に考えましょう。

お待ちしております。

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