税務調査の結果は税理士で変わる?現場で起きている決定的な差

皆さんこんにちは。税理士の中川祐輔です。

毎週月曜日に、経営者なら知っておきたい「税務調査」についての知識を解説しています。

「顧問税理士がいないと、税務調査で狙われやすいですか?」

「逆に、税理士がいると税務署は厳しくチェックするんですか?」

日々、多くの経営者の方からこのようなご質問をいただきます。

税務調査という言葉を聞いただけで、背筋が凍るような思いをされる経営者様は少なくありません。

会社を経営していく上で、避けては通れない道だと分かっていても、「できれば来てほしくない」というのが本音でしょう。

結論から申し上げますと、「税理士がいるかいないか」だけで、税務調査に来る確率が大きく変わることはありません。

しかし、これだけは断言できます。

「調査が来てからの展開」と「最終的な結果(納得感)」は、税理士の有無で天と地ほどの差が出ます。

なぜ、そこまでの差が生まれるのか。

今回は、数多くの調査現場に立ち会ってきた税理士としての視点から、現場で起きているリアルな実情と「税理士がいることの本当の意味」についてお話しします。

税務調査官も「話が通じる相手」を求めている

税務調査というと、ドラマや映画の影響で「冷徹な捜査官が不正を暴くために乗り込んでくる」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

しかし、現場の実態は少し違います。

意外に思われるかもしれませんが、調査官も感情を持った一人の人間であり、組織に属する会社員(公務員)です。

彼らには彼らの仕事の進め方があり、限られた日程の中で効率的に調査を終えたいと考えています。

共通言語があることの重要性

調査官にとって最もストレスがかかるのは、税法の知識が全くない経営者と一から話をしなければならない状況です。

専門用語を使わずに複雑な税務処理を説明するのは非常に骨が折れますし、意図が伝わらずに誤解が生じることもあります。

そんな時、税理士という「共通言語を持つ専門家」が間に入ると、彼らの態度は明らかに変わります。

  • 専門用語での会話が可能
    法的根拠に基づいた議論がスムーズに進む
  • 資料の提示が的確
    必要な情報を即座に提供できる
  • 論点の整理
    調査すべきポイントを絞って効率的に進められる

「話が通じる相手」がいることは、調査官にとっても仕事がしやすくなることを意味します。

結果として、調査現場の雰囲気が必要以上に険悪になるのを防ぎ、冷静で建設的な話し合いができる環境が整うのです。

感情論ではなく「論理」で戦う:冷静な翻訳者の役割

税務調査の現場でよく見られるのが、経営者様と調査官の間で起こる「言葉の不一致」です。

例えば、ある支出について調査官から「これは経費として認められません(損金不算入です)」と指摘されたとします。

経営者様からすれば、会社のために汗水垂らして使ったお金です。

「仕事で使ったんだからいいじゃないか!なぜ認められないんだ!」と、どうしても感情的になってしまうのは無理もありません。

しかし、残念ながら税務調査の現場では、感情論は一切通用しません。

むしろ、感情的になればなるほど「痛くもない腹を探られる」ことになり、まさに火に油を注ぐ結果となってしまいます。

税務署の言葉(理屈)で反論する技術

ここで私たち税理士の出番となります。

私たちは、経営者様の「想い」を、税務署に通じる「論理」へと変換する翻訳者の役割を果たします。

単に「仕事で使った」と主張するのではなく、以下のように反論を構成します。

  • 事実認定の確認
    どのような状況で使用された経費か
  • 法的根拠の提示
    法人税法や通達(国税庁の指針)のどの条文に当てはまるか
  • 過去の裁決事例
    類似のケースで認められた事例はあるか

「社長のお気持ちは分かりますが、この通達の第〇項に該当する事実関係があるため、法的には損金として認められるべきです」

このように税務署側の理屈(ルール)を使って反論することで初めて、調査官は聞く耳を持ちます。

調査官としても、理屈が通っており、上司への報告書に記載できるだけの正当な理由があれば、無理な指摘は引っ込めざるを得なくなるのです。

この「冷静な翻訳者」が横にいるかどうかが、追徴課税の有無や金額といった「調査の着地点」を大きく左右します。

社長を守る「防波堤」としての機能

税務調査において、多くの経営者が最も恐れていること。

それは、「調査官のペースに乗せられて、不利な事実を認めてしまうこと」ではないでしょうか。

調査官は調査のプロフェッショナルです。彼らは巧みな話術を持っています。

何気ない世間話だと思っていたら、実はそれが「誘導尋問」だったというケースは珍しくありません。

  • 「社長、趣味のゴルフは週末に行かれるんですか?(交際費の私的利用を探っている)」
  • 「売上の管理は奥様に任せきりなんですね?(内部統制の不備や除外売上の可能性を探っている)」

こうした質問に対し、不用意に「はい、そうですね」と答えてしまうと、それが言質(げんち)となって後から取り返しがつかない事態になることもあります。

ワンクッション置くことの安心感

そんな時、横に税理士がいれば、即座に割って入ることができます。

  • 「ちょっと待ってください。今の質問の意図は何ですか?」
  • 「その件については記憶が曖昧な部分もあるかと思いますので、後ほど帳簿と資料を確認してから正式に回答します」

このように、社長が直接矢面に立たされるのを防ぎ、ワンクッション置くことができます。

私たちはこれを「防波堤」としての役割と呼んでいます。

即答を避け、一度持ち帰って事実確認をする時間を稼ぐ。

このプロセスがあるだけで、誤った回答をしてしまうリスクは激減します。

「自分一人で答えなくていい」「横に味方がいる」という安心感こそが、極度の緊張状態にある社長にとって、精神的な負担を劇的に軽くする最大のメリットと言えるかもしれません。

まとめ:転ばぬ先の杖として

税務調査は、ある日突然やってきます。

「税務署から電話が来た!」と慌てて税理士を探す方もいらっしゃいますが、初対面の税理士が、その会社の歴史や社長の考え方を深く理解して対応するには限界があります。

やはり、普段から会社の状況を把握し、社長の経営方針を理解している顧問税理士が立ち会うのがベストです。

日頃のコミュニケーションがあるからこそ、調査官に対しても「社長の意図はこうです」と自信を持って代弁することができるからです。

「うちはまだ小さいから」は禁物

「うちはまだ規模が小さいから税理士は必要ない」

「売上が少ないから調査なんて来ないだろう」

そう思っている経営者様こそ、一度立ち止まって考えてみてください。

税務調査に「絶対に来ない」はありません。

万が一の時、知識という武器を持たずに丸腰で戦うリスクはあまりに大きすぎます。

税務調査に強い税理士がついていることは、会社を守るための「強力な保険」であり、経営に専念するための「安全装置」です。

まずはご相談ください

来月からはいよいよ確定申告シーズンに入ります。

一年の決算をまとめるこの時期は、自社の税務リスクを見直す絶好の機会でもあります。

  • 「今の経理処理で本当に大丈夫だろうか?」
  • 「将来の税務調査に備えて、今のうちにできる対策は?」

少しでも税務面の不安や疑問があれば、問題が起きる前に、お早めにご相談ください。

私たちは、経営者の皆様が安心して事業に邁進できるよう、全力でサポートさせていただきます。

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