本を読まない人はダメなのか?効率的に成果を出す学習方法の考え方

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週木曜日に、経営者なら知っておきたい「業務効率」についての知識を解説しています。
あなたは「本を読まない人はダメだ」と感じていませんか?
もしそう感じているのであれば、それはもしかしたら「もったいない思い込み」かもしれません。
なぜなら、ビジネスで成果を出すために本当に重要なのは、「本を読むこと」そのものではなく、「効果的に学ぶこと」だからです。
私はこれまで多くの企業様のコンサルティングに携わる中で、読書をしないことに対する懸念の声を聞くことが多々ありました。
確かに、読書には多くのメリットがあります。しかし、読書が苦手な方や、読書以外の方法でより効率的に学べる方もいらっしゃいます。
本記事では、「本を読まない人はダメ」という思い込みを捨て、成果を最大化するための学習法について、私の経験と知見に基づき解説していきます。
「本を読まない人はダメ」は本当か?学習の本質を見極める
結論から申し上げますと、「本を読まない人はダメ」とは思いません。なぜなら、人にはそれぞれ得意な学習方法があるからです。
確かに、ビジネスコンサルタントとして現場で「本を読まない人はダメ」というお話をする方もいらっしゃるかもしれません。
特に専門書だけでなく小説すら読まない人の話し方や思考が、表面的で深みに欠けるように感じられることもあるでしょう。
これは、読書を通じて得られる多角的な視点や深い思考プロセスが、その人には不足していると感じられるためかもしれません。
しかし、これは「読書こそが唯一の学習方法である」という前提に立っている考え方です。学習には、読書以外にも多様なアプローチが存在します。
なぜ「本を読むこと」にこだわるのか?:学習と娯楽の区別
そもそも、私たちは何のために本を読むのでしょうか?
大きく分けて、その目的は以下の2つに集約されます。
- 学習(知識の習得、スキルの向上)
- 娯楽(楽しみ、気分転換)
娯楽としての読書であれば、個人の好みの問題であり、読書以外にも映画鑑賞、ウェブサーフィン、スポーツなど、様々な選択肢があります。
誰もそれを否定するべきではありません。問題は「学習」という目的で本を読む場合です。
多くの人は、本を読むことが学習の最も有効な手段だと考えがちです。しかし、本当にそうでしょうか?
人それぞれ異なる「学習タイプ」:自分に合った学び方を見つける
学習理論には、人それぞれ得意な学習の仕方があるという考え方があります。
これは非常に重要なポイントです。
- 視覚優位型
文字を読むこと、図やグラフを見ることで学ぶのが得意な人。 - 聴覚優位型
人の話を聞くこと、オーディオブックを聞くことで学ぶのが得意な人。 - 体験優位型(運動感覚優位型)
実際に体験すること、手を動かすことで学ぶのが得意な人。
現代社会では、文字情報や視覚情報に溢れているため、視覚優位型の学習方法が「頭が良い」とされがちです。
しかし、それはあくまで数ある学習タイプの一つに過ぎません。
例えば、私自身は、一般的な速度で映像を視聴することや、長時間座ってセミナーを聞くことが苦手です。
しかし、立ち歩きながら参加できるセミナーや、短時間で要点がまとまっている情報であれば、スムーズに学習できます。
これは、私の学習タイプが影響しているからです。大切なのは、「本を読むこと」が目的ではなく、「効果的に学習すること」です。
その人が最も得意な方法で学習できるのであれば、それが最善なのです。
本を読まない人が「薄っぺらい」と感じる理由:思考の深堀り不足か?
「本を読まない人の話し方や思考が薄っぺらく感じる」という声を聞くことがあります。
これは、本を読まないこと自体が原因というよりも、思考の深堀りや多角的な視点を持つ機会が不足していることが根底にあるのかもしれません。
読書は、様々な専門家の知見や異なる価値観に触れる機会を与えてくれます。これにより、物事を多角的に捉え、深く考察する力が養われます。
もし、読書以外の方法でこれらの機会が得られていない場合、思考が表面的なものになってしまう可能性はあります。
しかし、これは「本を読んでいれば思考が深まる」という単純な話ではありません。
本を読んでいても、その内容を深く咀嚼せず、ただ知識を詰め込むだけであれば、思考は薄っぺらなままかもしれません。
重要なのは、インプットした情報をいかに自分の頭で考え、実践に結びつけるかです。
読書の「代替行為」:本を読まずに成果を出すための学習法
では、読書が苦手な場合、どのような方法で効果的に学習し、ビジネスで成果を出すことができるのでしょうか?
読書の代替行為として有効なものをいくつかご紹介します。
- オーディオブックの活用
音声で情報を取り入れることで、移動中や作業中でも学習できます。聴覚優位型の方には特に有効です。 - セミナー・講演会への参加
生の情報を得ることで、講師の熱意や場の雰囲気から学びを得られます。質疑応答を通じて、疑問点を解消することも可能です。 - 対話・ディスカッション
他者との対話を通じて、自分の考えを整理し、新たな視点を得ることができます。アウトプットの機会としても重要です。 - 実践とフィードバック
実際に業務を行い、その結果に対するフィードバックを受けることで、具体的な改善点や学びを得られます。最も実践的な学習方法の一つです。 - 動画コンテンツの視聴
YouTubeやオンライン学習プラットフォームなど、視覚的に分かりやすい動画コンテンツは、多くの情報を効率的にインプットできます。 - 専門家への相談(「頭貸し」)
課題解決のために、その分野の専門家から直接アドバイスを受けることは、最も効率的で実践的な学習方法の一つです。
大切なのは、これらの方法を単独で利用するのではなく、組み合わせて活用することです。
例えば、オーディオブックで概要を把握し、気になる点は専門家との対話で深掘りし、最終的に実践で試す、といった流れです。
良質な本の見極め方:膨大な情報の中から「本当に役立つ1%」を探す
現代は情報過多の時代であり、ビジネス書だけでも星の数ほど出版されています。
その中から「本当に役立つ1%」を見つけ出すのは至難の業です。
私自身の経験から言えば、玉石混交のビジネス書の中で、本当に価値のあるものはごく一部だと感じています。
良質な本を見極めるためのヒントをいくつかご紹介しましょう。
- 歴史の審判を受けている本
何十年も読み継がれている古典や名著は、時代を超えて普遍的な価値を持つ可能性が高いです。 - 信頼できる人が勧める本
あなたが尊敬する経営者や専門家が推薦する本は、価値ある情報が含まれている可能性が高いでしょう。
ただし、その人が推薦する全ての情報があなたにとって必要とは限りません。自身の課題と照らし合わせて判断することが重要です。 - 自身の課題に直結する本
今、あなたが抱えている具体的な課題を解決するために役立つ本を選ぶのが最も効率的です。
漠然と「良い本」を探すのではなく、「何を知りたいのか」「何を解決したいのか」を明確にしましょう。
また、本は「完成品」であり、情報がそこにまとまるまでには時間がかかっています。
最新の一次情報(論文、専門家のセミナー、直接の対話など)をキャッチアップすることも、時には本を読む以上に重要です。
まとめ:成果を出すための学習は「目的」にあり
「本を読まない人はダメ」という考え方は、学習方法を狭めてしまう可能性があります。
ビジネスで成果を出すために本当に重要なのは、「いかに効率的かつ効果的に学習するか」です。
中小企業の経営者の皆様には、ご自身や社員の方々の学習タイプを理解し、読書に限らず、
オーディオブック、セミナー、対話、実践、専門家への相談など、多様な学習方法を柔軟に取り入れることをお勧めします。
そして、最も重要なのは、「何のために学ぶのか」という目的意識です。
単に知識を増やすだけでなく、それが具体的な成果にどう結びつくのかを常に意識することで、学習はより意味のあるものになります。
貴社と皆様のビジネスの発展に、本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。