経営者が動画講座から効率的に成果を出すための視聴テクニック

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週木曜日に、経営者なら知っておきたい「業務効率」についての知識を解説しています。
日々の業務に追われる中で、自己成長や事業発展のための学びの時間を確保することの難しさを感じていらっしゃるのではないでしょうか。
特に、近年増えている動画講座は、手軽に始められる一方で、「ボリュームが多くて消化しきれない」「途中で挫折してしまった」という声も少なくありません。
本記事では、多忙な経営者の皆様が動画講座から最大限の成果を引き出すための、戦略的かつ実践的な学習法について解説します。
単に情報を受け取るだけでなく、それをいかにして経営の成果に結びつけるか、私も実践している具体的なノウハウをお伝えします。
なぜ動画講座を最後まで見られないのか?~多くの経営者が陥る罠~
動画講座を購入したものの、最後まで視聴できずに「積ん読」状態になってしまうケースは、多くの経営者に見受けられます。
なぜこのような状況が生まれるのでしょうか。
- 「全部見なければならない」という固定観念
学生時代の教科書のように、1から10まで順番に全てを学ばなければならないという思い込みが、無意識のうちにプレッシャーとなっていることがあります。 - インプット自体が目的化してしまう
学ぶこと自体が目的となり、本来の「成果を出す」という視点が薄れてしまうことがあります。
動画を見ること、知識を詰め込むことに満足してしまい、実践に繋がらないのです。 - 動画コンテンツの特性
動画は、文字情報と比較して、特定の箇所をピンポイントで見つけ出すのが難しかったり、再生速度を調整してもなお時間を要したりする場合があります。
また、講師によっては前置きが長かったり、論点が整理されていなかったりすることで、視聴のモチベーションが低下することも考えられます。
これらの罠を理解した上で、より効果的な学習アプローチを取り入れることが重要です。
学習効果を最大化する2つのアプローチ ~あなたの状況に合わせた動画講座活用術~
動画講座から効率的に学びを得るためには、学ぶ対象の分野に対するご自身の理解度に応じて、アプローチを変えることが有効です。
アプローチ1:未知の分野を学ぶ場合
これから全く新しい分野の知識を習得しようとする場合、まずはその分野の全体像を把握することが最優先です。
- 目的
その分野がどのような構造になっているのか、主要な要素は何か、といった大枠を理解する。 - 具体的な方法
動画講座であれば、2倍速や3倍速などの早送り機能を活用し、まずは全体をザッと通して視聴します。細部の理解は後回しで構いません。
全体像を掴んだら、その大枠の中に具体的な知識を肉付けしていくイメージで、再度視聴したり、関連情報を調べたりします。 - 補足
分野によっては、動画よりも書籍の方が体系的にまとめられており、目次などで構造を把握しやすいため、全体像を掴むには適している場合もあります。
未知の分野においては、まず森全体を眺め、その後で個々の木々に注目していくような学び方が効果的です。
アプローチ2:既知の分野を深める場合
既にある程度知識や経験がある分野について、さらに理解を深めたり、特定のスキルを向上させたりしたい場合のアプローチです。
- 目的
現在抱えている具体的な課題を解決し、事業の業績向上に直接結びつける。 - 具体的な方法
まず、動画講座を通じて何を達成したいのか、具体的な課題や目的を明確にします。
(例:リピート客を増やしたい、成約率を上げたいなど)
その課題解決に直結すると思われるセクションやチャプターを重点的に視聴します。
全てを網羅的に見る必要はありません。学んだことは、すぐに実践に移します。
ビジネス系の学びは、知識として蓄えるだけでなく、実行して初めて価値が生まれます。 - ポイント
このアプローチで最も重要なのは、「全部を学ぶ」のではなく、「成果を出すために必要な部分を学ぶ」という意識です。
知っている分野であればこそ、課題意識を明確にし、そこに対してピンポイントで学び、即座に行動に移す。
このサイクルを回すことが、成果に繋がる最短ルートと言えるでしょう。
「学ぶ」から「成果を出す」へ ~ビジネスにおける学習の真の目的~
ビジネスにおける学習の最終的なゴールは、知識を豊富にすることではなく、事業の利益を向上させることです。
動画講座への投資も、この視点から評価する必要があります。
例えば、5,000円の動画講座で学んだ施策を実行し、20,000円の利益増に繋がったとすれば、その学習は成功です。
たとえ講座の半分しか見ていなくても、目的は達成されているのです。
「全部見なければもったいない」という気持ちは理解できますが、ビジネスにおいては投資対効果(ROI)が何よりも重要です。
一部分の学びからでも成果が得られれば、それは価値ある投資と言えます。
そして、小さな成功体験は、さらに他の部分を学んでみようというモチベーションにも繋がるはずです。
コンテンツ過多時代の情報消化術 ~サブスクリプション型講座との向き合い方~
最近では、月額制で新しいコンテンツが毎月提供されるサブスクリプション型の動画講座も増えています。
しかし、次々と配信される情報量の多さに圧倒され、消化不良を起こしてしまう経営者も少なくありません。
ここでも重要なのは、「全部学ぼうとしない」という心構えです。
- ペイする意識
月額の受講料を支払っているのであれば、その月に学んだことの中から一つでも実践し、受講料以上の成果(ペイ)が得られれば良い、と考えましょう。 - 年間トータルで考える
毎月必ず大きな成果が出るとは限りません。時にはうまくいかない月もあるでしょう。
しかし、年間を通じてトータルで投資額を上回るリターンがあれば、その学びは成功と捉えることができます。 - 基礎知識習得後の焦点
ある程度のベースとなる知識が身についたら、それ以降は新たなインプットを追い求めるよりも、既存の知識やノウハウをいかに実践し、成果に結びつけるかに注力すべきです。
送られてくるコンテンツ全てに目を通す必要はありません。
自社の状況に合わせて必要な情報を取捨選択し、一つでも行動に移すことが肝心です。
実践こそが最良の学び ~インプット過多からの脱却~
多くの動画講座では、知識を伝えるだけでなく、ワーク(演習)や実践を促す構成になっています。
これは、学んだことを実行できるかどうかが最も重要だからです。
コンサルタントの立場から見ても、本当に重要なポイントというのは、実はそれほど多くありません。
むしろ、その少ないポイントをいかに正しく理解し、正確にアウトプット(実践)できるかが成果を左右します。
6時間にも及ぶ長時間の講座があったとして、その全てが重要で、全てを記憶し、全てを実行できるでしょうか?おそらく不可能です。
そして、そのような状態では、学ぶことが目的化してしまい、行動が伴わなくなってしまいます。
「学ぶことが目的ではなく、行動し成果を出すことが目的である。」
この原則を常に意識し、インプットとアウトプットのバランスを取りながら、トライアンドエラーを繰り返していくことこそが、経営者にとって最良の学びとなるのです。
まとめ:戦略的学習で、動画講座を経営の武器に変える
本記事では、中小企業の経営者の皆様が動画講座を効果的に活用し、実際の成果に繋げるための戦略的な学習法について解説しました。
- 学習アプローチの選択
学ぶ分野が未知か既知かで、学び方を変える。 - 目的意識の明確化
「何のために学ぶのか」を常に意識し、成果に直結する学びを優先する。 - 「全部学ぶ」からの脱却
全てを網羅するのではなく、必要な情報をピンポイントで学び、即実践する。 - 投資対効果の重視
学びへの投資が、どれだけの利益に繋がったかを意識する。 - 実践とアウトプットの重視
インプットだけでなく、行動を通じて学びを深める。
動画講座は、目的意識を持って戦略的に活用することで、多忙な経営者にとって非常に強力な武器となり得ます。
「学ぶこと」が目的ではなく、「成果を出すこと」が目的であるという本質を忘れず、本記事でご紹介したノウハウを、ぜひ貴社の成長にお役立ていただければ幸いです。
もし、自社に最適な学習戦略の策定や、具体的な実践方法についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。