生命保険を活用した節税について

           

         

                   

生命保険を活用した節税について


中小企業では生命保険の活用により節税を行うことができ、目的や用途に応じて商品を使い分けることでメリットが大きくなりやすいことをご存知でしょうか。終身保険以外の生命保険では、掛け金の全額を損金に算入できる商品と2分の1を損金に算入できる商品があります。

 

全額を損金に算入できる保険商品

掛け金を全額損金に算入できる商品として生活障害保障型定期保険があります。生活障害保障型定期保険は、死亡保障のほか所定の障害状態となった時に保険金を受け取ることができる商品で、カバーされる状態が幅広いのが特色です。その一方で、掛け金がやや高めとなり、解約返戻金についてはピーク時でも70~80%の水準に留まるため、コストパフォーマンスの観点からはメリットが低めです。また、解約返戻金の受け取り時には全額が益金となって課税額が膨らみますので、設備投資や役員の退職金のような大きな支出に合わせて解約するのに向いているといえるでしょう。急な資金が必要となった時には、解約返戻金の範囲内で貸し付けを受けることも可能です。

 

2分の1を損金に算入できる商品

掛け金の2分の1を損金にできる商品としては、逓増定期保険と長期平準定期保険があります。逓増定期保険と長期平準定期保険では死亡保険金を確保することができますし、解約返戻金についてはピーク時で100%近くありますので利用価値が大きいと言えるでしょう。逓増定期保険の特色として、契約してから解約返戻金が上昇していくペースが速いことがあげられます。そのため、比較的短い期間に退職金を支給したり、資金を準備したりする必要がある場合に向いていると考えられます。また、長期平準定期保険については解約返戻金が積み上がるスピードは逓増定期保険と比べて遅くなりますが、解約返戻金の率が高い時期が長く続く傾向にありますので、コツコツと積み立てていくことで、幅広い用途で将来に備えることができます。解約返戻金については、逓増定期保険・長期平準定期保険ともに損金として算入していた部分が雑収入として課税対象となります。そのため、解約時に退職金として支給したり設備投資をしたりするなど、法人税の課税を減らすことがポイントとなります。

 

生命保険を節税に利用する際の注意点

中小企業ではこれまで生命保険を活用して節税が行われてきた一方で、税制面での見直しが度々行われてきました。そのため、現時点で節税のメリットが大きい商品であっても、今後の税制改正によってメリットが失われる可能性もゼロではありません。こうした観点から保険商品を一つに絞るよりは、いくつかに分散しておくことで一部解約が可能となりますし、リスクを分散する効果も期待できます。また、マイナス金利が導入されたことで、保険商品の運用や取り扱いに関して不透明感が出てきた点も留意しておきたいところですね。