役員退職金を活用した節税について

           

         

                   

役員退職金を活用した節税について


企業経営者にとって税金の負担をできるだけ軽くすることは、会社の経営を改善する大きなポイントになるといえるでしょう。節税手段として有効な方法の一つに役員退職金の支給があげられます。適切に退職金を支給することで、会社にとっても支給される側にとっても節税効果が高くなるメリットがあります。

 

中小企業の節税と退職金

会社が利益を大きく出しているときに、役員退職金を支給すると節税効果を高めることができます。特に中小企業の場合、役員退職金は多額となりますから、損金として認められれば法人税を大幅に節約することができます。法人税率については資本金1億円以下の中小企業の場合、年800万円超の所得であれば23.9%、年800万円以下の所得であれば19%課税されます。さらに、法人住民税は法人税額や住民税率などに基づいて算出され、法人事業税は所得と法人事業税率に基づいて算出されて課税されることになります。そのため、会社にとってはできる限り損金を大きく計上して所得を減らすことが、税金を抑えることにつながるのです。

 

役員退職金の目安と受取時にかかる税金

退職金の支給により法人税を節約できるメリットがある一方で、役員退職金については適切な金額を支払わなければ損金不算入となる可能性があります。一般的に役員の退職金は、最終月額役員報酬×在任期間×功績倍率に基づいて算出できます。功績倍率については役位によって異なり、会長で2.5、社長で3、専務が2、常務で1.5程度とするのが目安となります。社内であらかじめ各種規程の中に退職金規程を設けて功績倍率を定めておくと、退職金を支給したときに理解が得られやすくなるでしょう。退職金の受取時にかかる税金は、退職所得控除を差し引き、残りの金額を2分の1にした部分に課税されます。退職金は分離課税となりますので、他に所得がある場合でも税金を抑えられるメリットがあります。

 

役員退職金は勤続年数に注意

役員退職金の支給の際に注意しておきたいのは、勤続年数による課税の違いについてです。2013年の1月以降、勤続年数が5年以下の役員に対して退職金が支給される場合、退職所得控除を差し引いた後に課税所得を2分の1とすることができなくなりました。退職金の課税所得を2分の1にできなければ、税金面でのメリットが失われてしまうと言えるでしょう。受け取る本人の節税の観点から、5年を超えて勤務してから退職金を支給することが望まれます。